CRE、はじめ(て)ました

このエントリは、GMOペパボエンジニア Advent Calendar 2020 – Adventar の5日目の記事です。4日目は、mataku さんの minne Android アプリ開発基盤における改善 でした。

GMOペパボ ホスティング事業部のここ数年の動き

私の所属する GMO ペパボ ホスティング事業部では、次のようなレンタルサーバーのサービスを行っています。

  • ロリポップ! レンタルサーバー
  • レンタルサーバーヘテムル

これらのサービスに対して、ホスティング事業部では昨年 2019 年から Site Reliability Engineering (サイト信頼性エンジニアリング、以下 SRE) の活動を開始し、レスポンススピードの向上やサーバーの安定性向上に努めてきました。

ロリポップが高速化・安定化のために取り組んでいること

どのような活動を行ってきたかというのは上記の記事に詳しく書かれていますのでぜひご一読いただければと思いますが、こういった活動や、ハイスピードプランの追加、既存プランのアップデートを行い、お客様により安心してご利用いただけるように日々努めています。

そして、2020年にはいって、ホスティング事業部に新たに誕生したのが、Customer Reliability Engineering(顧客信頼性エンジニアリング、以下CRE)の活動を行う「CRチーム」で、私はチーム発足からメンバーとして活動をしてきました。

このエントリではCREとはなにかということを説明しつつ、CRチームで何をやっているのか/何をやっていくのかの説明をしていきたいと思います。

CREという考え方

CREという考え方は、SREという考え方を導入した Google によって、最初に導入されました。

Google の新しい専門職 : CRE が必要な理由

Google での CRE という考え方は、SRE の延長線上にあります。

SREは開発者が決められた基準を満たすプロダクトをリリースする限り、それに見合ったシステムの稼働と健全な運用に責任を持ちます。

かなり大雑把にいうと、SREの考え方の社内の開発者というのを社外の顧客に置き換えた考え方が CRE となります。

つまり、Google の CRE というのは、顧客が予め決めておいた基準を満たすプロダクトをリリースする限り、それに見合ったシステムの稼働と健全な運用に責任を持つということになります。

GoogleでのCREという考え方は、顧客にもかなりストイックな姿勢を求めるものでなかなかハードルが高いなというのが私個人の感想です。

日本でのCREの広がり

日本でも、株式会社はてなの a-know さんが CRE というポジションを日本にもたらして以降、多くの企業が CRE というポジションを置くようになりました。

そのはてなさんのCREの歩みが次のエントリにまとめられており、どういう軌跡をたどっているかというのがとてもわかり易く説明されています。

MackerelのCREがカスタマーサクセスをいま学ぶ理由─3年間の試行錯誤をぜんぶ話そう

上記の記事でも書かれているように、日本での CRE というポジションでの活動は、先に書いた Google の CRE のようなある意味ストイックなものではなく、カスタマーサポートの延長線上であったり、技術コンサル的な意味合いが強いように思います。

SREという活動は内容を説明される文献もあり、ある程度の共通解があるように思えますが、CREという考え方は、その会社の持つプロダクトの性格や、顧客との関わり方により、それぞれの会社ごとに解釈が大きく違うというのを、いろいろな会社の CRE 活動のエントリを見ると感じます。(というか同じものは2つとないのでは?と思ってしまうくらいです)

ホスティング事業部におけるCRE

私の所属するホスティング事業部にCRチームが発足して以来、ホスティング事業におけるCREとはどういうものなのか?という定義に悩み、試行錯誤した1年になりました。

奇しくもこれは、先にあげた、はてなさんのブログエントリでも「CREの定義に悩んだ立ち上げ期」として書かれており、やっぱりどこでもそうなるんだなぁと思って、このエントリを読んでいました。

ホスティング事業部で提供しているロリポップ!およびヘテムルというレンタルサーバーのサービスは初心者の方でも簡単に利用していただきたいというプロダクトであり、Google のようなストイックな要求をしてそれに見合った運用を保証するという考え方の Google的CRE は基本的にマッチしません。

では、どういうことを行うべきだろうか?ということをチームメンバーで日々話し合った結果、現在は以下のようなスローガンを元に活動を行っています。

お客様の成功までの障害を取り除く

ご利用いただいているお客様には、ロリポップ!およびヘテムルというレンタルサーバー上で実現したいゴールがあり、そのゴールに向かう上で障害となっているものを我々のチームで取り除いていく、そのお手伝いを積極的に行うことが我々の役割であると考えています。

日々お客様からいただくお問い合わせから現在の状況を読み解き、いろいろなデータを分析し、お客様の障害となっているものを見つけ、ホスティング事業部の各チームと連携してそれを取り除くことにより、お客様にスムーズにゴールに向かっていただくということを支援して行きたいと思っています。

おわりに

私が所属するホスティング事業部では2020年頭にCREを行うCRチームが発足しましたが、カラーミーショップを提供している事業部では 2018年末からCREチームが発足をして、機能改善が日々進んでいます。

2019年1月の機能改善まとめ【カラーミーショップ改善レポート vol.1】

カラーミーショップ 機能改善の記事一覧

GMOペパボでは、お客様に安心してプロダクトをご利用いただけるように一丸となって取り組んでいます。その一環として、各プロダクトを受け持つ事業部において続々とCRE活動を行うチームが立ち上がっています。

日々どのような改善を行ったのかといったことを、これからは各プロダクトのCREチームからどんどん発信していくようにしていきたいと思っていますので、ウォッチしておいていただけるとありがたいです。

kunit
GMOペパボという会社でCREをしています。